2022年03月26日

味の記憶のお話し!

【ワインの記憶】
たまにはソムリエらしいお話しを、、、!

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今マノワの前の明治通りは桜が咲き誇り、1年で最も日本人を感じる季節だと思います。
写真のソーテルヌはフランスを代表する貴腐ワインなのですが、この2001年のCru D’Arche-Pugeneauを僕は人生で初めて飲みました。

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20年以上東京で、フランス料理店のみのソムリエを続けており、様々なフランスワインを飲んできましたが、このソーテルヌは初めて飲みました。

何故なら友人にソーテルヌ好きな方がいて、フランスからご自身が持って帰って来て、昨日マノワに1本プレゼントしてくれたんです。

こう言うワインは🍷僕もスタッフももちろん飲みますが、残ったソーテルヌは、喜んでくださるであろう常連様に、桜のデザートと共にお出しさせて頂いております(もう無くなってしまいました)

今日のランチにお出しさせて頂いた、80歳のお誕生日を迎えた素敵な貴婦人はお帰りの際に、、、

【先程の貴腐ワインはその昔、とある男性に飲ませて頂いたあのワインの味だった。でもその男性はもう生きていないんだけどね!でもこの貴腐ワインを思いがけず飲ませて頂き、あの時の記憶が鮮明に浮かびました。中村さんありがとう!】

なんだかタイタニックの映画みたいなお話しですね?

これこそが味の記憶であり、僕が、食べることは文化だと言い続ける事の根源の様に感じ、自然と涙が出ました。

ウクライナとロシアの戦争より前から、僕らフランス料理業界はヨーロッパに憧れ、ワインや食材など多くを依存して生きて来ました。

小麦粉が17%上がりますって言うニュースは目にすれど、誰もシャンパーニュやソーテルヌの値段が上がっている事をニュースにしません。

そーですよね?テレビのCMは毎日の様に、からあげとハイボールとレモンサワーとカップ麺とコンビニのCMしか目にしない様な気がしております。

今回のロシアの問題で知ったプロパガンダって言う言葉!

食におけるプロパガンダって何?って毎日疑問に感じております。

このソーテルヌの2001年の時代、僕は未来のフランス料理業界に希望しか感じてませんでした。

その頃僕は、西麻布の有名店で働かせて頂いていたのですが、六本木ヒルズが建設されており、次の日に出勤すると新しい道やビルが建っており、2002年は日本でサッカーのワールドカップもあり、未来に期待しか無かった年です。

その当時僕が描いていた未来では無い今日この頃、唯一変わらない味覚って言う大切な価値観を改めて常連様に教えて貰った気がします。

ちなみに2001年生まれのスタッフがマノワにはおり、毎日朝から一緒に働いております(笑)

フランス料理店なので、マノワではフランスワインしかありませんが、、、、

フランスワインについての思い出を、お客様とお話しさせて頂く事が、なんて大切な事であり、魂を揺さぶるもんなんだろうって思った今日のランチでした。

ずーっと言ってますが、僕は日本でも食べる事は文化だと考えており、その全てを僕の息子の世代に体現して貰うことは無理だと思ってますが、せめて息子には、いつか彼女が出来てフランス料理店に行く事があったら、、、、

【今日はジュブレィシャンベルタンにしようか?シャンボールが良い?】

って言っていた2001年のカッコいいおっさん達みたいになって貰いたいって思うもんです(笑)

最近ではカッコ付けの若者がマノワで僕に、、、

【ハイボールは何がありますお兄さん?】

ってマノワでも聞くフレーズなりました(笑)その後の対応は皆様の想像通りだと思います。

明治通りの桜見ながら🌸今日も上を向いて歩いて帰ります。

MさんそしてソーテルヌをくれたIさん、いつもご来店頂きありがとうございます。
#マノワ #ソーテルヌ #2001年 #味の記憶 #食は文化であり楽しむ事が文化である
posted by マノワ at 00:17| 僕の生き方のお話し! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする